フロア向けのベース爆弾とDJの未来

皆さんドラムンベースは好きですか?
オレはまだジャーマンハードコアブレイクビーツと呼ばれていた頃からのファンでWhite BreaksやDope Dragonなどのレーベルを好んで聴いていました。
またラガの方から来る倍速ヒップホップも好きで、それは後にジャングルと呼ばれる事になります。
なので自分はジャングル・ドラムンベース黎明期、日本の大阪シーンに足繁く通っていた自負があります。レコ屋Baobabでアキイさんが店番をしている時にかかっていた曲を尋ねてみてそれがSquarepusherのThemeだったり、

伝説のクラブBlue NileでKemistry & StormのDJで朝まで延々と踊ったり、Panaceaの来日公演に行ったり、またDHRが業界に旋風を起こした時のAlec Empire初来日の時カーマ行って踊り狂った事もあります。後のアンセムとなるReady or notをフロアで直接体験したのも大阪のパーティです。メロディックな気分で体を揺らせているとブレイク後の急な頭の悪いベースラインにやられて脳にダメージを負ったこともありました。Zettai-Mu(絶対矛)、BaysideJennyのパーティで生サイケアウツを体験したり、ノリにのったGrooveriderが朝8時頃までDJしてたりしたのは、自分の青春の一部分として今も鮮烈な思い出となっています。

で、そのドラムンベースですがSubpacを買ってから体感重低音の心地よさで第三次ブームみたいなのが静かに訪れています。中でもSubpacオススメのSpotifyプレイリストに入っていたL-Side、意識的に40Hz以下を出してくるこの野郎、良すぎて2018年に出たアルバムを購入するまでになりました。ドラムンベースのアルバムを買ったのは、昔も大昔、DillinjaとかPhotek辺り以来の超久しぶりになります。アルバム自体の出来は普通なものの、出てくるベースが他のアーティストに比べて一段と低くて太い、耳で聴くよりは体で体感する重低音がよく出ていて気持ちよく仕上がっており、フロア中心音楽の考え方として的を得たモノになっています。フロアを満たすこの振動はちゃんと意識しない限り自然と出るものではありません。とか言いつつもインタビューを掘ってみるとなんとM-AudioのFast Trackとヘッドフォン、んでもってAiwaのMicro Systemがホームスタジオの機材として挙げられています。信じられない!マジかよ!
使っているヘッドフォンはこの動画を見る限りでは不明。 情報をお持ちの方はTwitter @Ninooまでメッセージ下さい。

ほんでもってアルバム買ったと言うと、音楽サブスク全盛期の今DJする目的のために音源をファイルで所有する事に意味があるのか、と言う考えが頭をよぎります。DJアプリ自体がストリーミングに対応してないのでファイルを用意せざるを得ないのですが、最先端であるべきDJが昔のファイル方式に縛られているのは微妙に滑稽な感じですらあります。AlgoriddimのDjay Proが昔Spotifyに対応していたりしましたが、今はどのアプリもストリーミングサービスとは連携できないでいて一昔前のレコードに縛られていたヴァイナルDJと同じような状態です。Spotify音源の話はSpotify側がDJアプリの使用を許諾しないと言う風になっているので今後の見通しも暗雲が立ち込めていると言わざるを得ないでしょう。DJコンを買って気軽にDJが始められるようになった今現在でさえDJは少数派です。一人のDJが音楽を選別しプレイするのに対してそれを聴くクラウドは多数です。そういう状況でロイヤリティの問題が出てくるのはわかります。が、しかしDJも含めみんなが幸せになる状態では無いのが現在の状況です。そろそろクラウドの居るフロアで試しがけをして反応をみてから購入を決めると言う選択肢があってしかるべきだと思うのです。クラブの現場ではDJが持ってきたヴァイナルだけではかける曲が足らなくなってしまい、その友人が買ったとあるレーベルの最新音源をかけてみるみたいな状況もあったりしました。音源を所有する満足感、安心感みたいなのはヴァイナルの頃からあります。今でもジャケットのためにヴァイナルを買う人が居るように、音源を持っていると下準備(全展開を試聴、アナライズやタグの追加など)が色々とでき、本番で使うための準備が出来ます。ストリーミングでは得られない安心感がファイルには有るのです。
しかしながら選択肢のひとつとしてストリーミング楽曲をDJ出来ると言う事は、未知の音楽に触れる体験をDJとクラウド両方に与えてくれます。選曲をその場ですると言うDJ特有のスリルにストリーミングが加わるとその場だけ、一回だけの奇跡のような体験に拍車がかかると考える今日このごろです。いつか持っている曲だけではなく知っている曲全部が選曲の対象となり、しかも知らない曲をDigしつつDJ出来る未来的なDJに希望を持ちつつ終わりたいと思います。
以上。

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